交通死亡事故を示談交渉ではなく裁判で解決するメリットは?

今回のテーマは、交通死亡事故を示談交渉ではなく、裁判で解決することのメリットです。

千葉志法律事務所では、交通死亡事故の解決手段は、基本的に訴訟をおすすめしています。

「示談交渉→(不成立の場合に)訴訟」という流れが一般的ですが、即訴訟をおすすめしている理由はどのような点にあるのでしょうか?

まず、金額の面です。

先のコラムでもお伝えしたように、裁判所の判決による解決となれば、裁判所が認定する損害額の1割程度は、相手方が負担すべき弁護士費用として認定される傾向にあります(判決ではなく裁判所の和解による解決でも調整金のような形で一定程度考慮されます)。

交通死亡事故の損害額は数千万円単位と高額であることが少なくないため、それに対する1割程度の弁護士費用が認定されることは、金額面で非常に大きいです(例:損害額5000万円に対する1割は500万円)。

また、訴訟による解決であれば、事故発生時からの遅延損害金(利息)も裁判所は考慮するため、この点も金額面では大きいです(例:5500万円に対する年3%の利息は165万円)。

これに対して、示談交渉で弁護士費用や遅延損害金を相手方が認めることはまれです。

次に、時間の面です。

一般的に、示談交渉による解決はスムーズで訴訟は時間が掛かるというイメージを持たれている方が多いと思います。このようなイメージはあながち間違いではありません。

しかしながら、交通死亡事故に関しては、必ずしもそのような関係にないと感じています。

交通死亡事故の賠償金は、通常、数千万円単位となります。このような多額の金額の賠償交渉は、保険会社内部の決裁も相当上級の担当者の稟議が必要となります。

そのため、こちら側から提案をした後に、相手方から対案が来るまで数カ月を要することも珍しくありません。

その上、保険会社としても相当に高額な決裁は裁判所の判断なく承認できない傾向にあるようで、対案が来ても適切な賠償金額にはほど遠いことが少なくありません。

それゆえ、交通死亡事故においては、示談交渉を経ずに、即訴訟という解決手段を選択することが、かえってスムーズな解決に繋がるといえます。

最後に手間の面です。

ご遺族にお願いする資料収集や事情聴取の手間も示談交渉と訴訟で差はありません。

また、交通事故の被害者側の事件を専門的に取り扱っている私からすると、示談交渉も訴訟も準備の手間は同じです。

手間に差がないのであれば、より適切な金額での解決を期待できる可能性が高く、より円滑に解決できる手段を選択することが合理的な解決方法といえます。

以上が交通死亡事故の解決手段として即訴訟をおすすめしている理由となります。

交通死亡事故の解決方法として訴訟を選択肢に入れないことは、よほどの理由がないと合理的とはいえないと私としては考えています。

法律相談においては、聴取内容を踏まえて、訴訟での解決となった場合の具体的な金額に関するご提案もいたしますので、まずは、お問い合わせいただければと思います。